深く・広い専門科目の講義

資源生物科学科では、「農学」を理系と文系の総合力によって未来を切り開く学問分野として考えています。そこで学部講義では、農学に関する科目だけではなく、様々な生命現象の仕組みを理解するために必要な生物学、化学、物理学、数学、統計学などの理系科目も履修し、さらに遺伝子発現や細胞機能などに関する先端生命科学を学ぶことで、農学分野に加えて、医薬・農薬・食品・化粧品関連分野でも重要な知識や思考法を修得することができます。また、本学科の特色として、経済学や国際関係論などの社会科学についても専門科目として学べることが挙げられます。このような多岐にわたる学問分野の最先端の講義を受けられることが、資源生物科学科の特色です。本学科では4年間の学生生活を通して、自身の専門分野に立脚しつつ、広い視野をもって様々な問題を解決することができるようになるために必要な素養を磨くことができます。

実験実習

2・3年次に専門科目の学習と理解に必要な基礎的な実験や実習を行うカリキュラムが組まれています。実験実習室の設備はさまざまな専門的な研究までも十分体験できるものとなっています。大実習室では中央に4面の大型スクリーンを設置しており、学生はどの位置からでも教員の説明や操作の手順をつぶさに見ることができるので、実験をスムーズに進めることができます。

生物生産実習 (農場実習)

3年次の実験実習の一部として附属フィールド科学教育研究センター東郷フィールド(農場)において実施します。講義や実験室での実習で得た知識を基づき、作物栽培や家畜の管理を実際に体験するとともに、フィールドにおける実験・調査方法などの基礎を学びます。農業現場について理解を深めると同時に、農業の現状と農学が解決すべき課題につい視野を広げることを目指しています。

国内実地研修

農業の現場を体験できるコースです。愛知県農業総合試験場、JAあいち、東海農政局、中山間地域の東栄町ファームステイの4コースがあり、新しい農業技術の検証がどのように進められるか、農業関係者の経営をいかに守れるか、魅力ある商品をどのようにして消費者に届けるか、国内農地の約1/3を占める中山間地域の課題とは何かなど、農業に関連するリアルな側面についてインターンシップを通して体験することができます。

海外学生受入研修

名古屋大学が長年交流を深めてきたカセサート大学(タイ)と王立農業大学(カンボジア)で農学を学ぶ学生を日本に招いて実施します。国内の農業現場を3大学の学生から成る少人数グループで視察・調査し、日本の先端的技術や農業生産から加工・流通・販売を支える組織・インフラを学びます。農業・農学の知識を3ヶ国の学生間で英語を使って共有することを通じて国際感覚を養います。

海外実地研修

本学科の学生がカセサート大学(タイ)と王立農業大学(カンボジア)を訪問し、現地の学生とともにグループワークを通じて各国の農業現場を五感で体験します。これにより、日本で学んだ農学が世界の農業現場で役立っていることを知り、農学を学ぶ意義の理解を深めます。タイおよびカンボジアの学生たちとの交流や、各国の文化を体験できることも魅力の一つです。

2023年度 海外実地研修レポート

農業現場フィールドワーク in Thailand

私達の班は、タイにおける動物生産を学びました。フィールドワークは3日間行われ、初日は牛、二日目に観賞魚、三日目に食用コオロギの生産者を訪れてお話を伺いました。フィールドワークで学んだことの中で特に印象に残っているのは観賞魚のベタの飼育方法です。ベタは闘魚として知られているように1匹ずつ飼育しないと喧嘩をして体を傷つけてしまいます。しかし、1匹ずつ水槽に入れ、飼育するのは場所やコストがかかります。そうした問題を解消するため、現地では床一面に小さなウイスキーの瓶を敷き詰めて、その中でベタを育てていました。(従業員の方は、その瓶の上を歩きながら餌をあげていました!) 研修を通して農業だけでなく様々な文化の違いを感じました。現地の生産者やKUの学生との会話の全てが新鮮でとてもおもしろかったです。

歴史や文化 in Thailand

実地研修が終わった後、タイの文化遺産であるバンパイン宮殿、世界遺産にも登録されているアユタヤ遺跡やエメラルド寺院を訪れました。この訪問を通して、タイの宗教や他国からの影響を受けた建物を直に見物することができ、タイの文化や歴史を深く学ぶことができました。日本と大きく異なる建築様式やタイのもともとあった文化と混ざり合った建物は非常に興味深かったです。私が特に興味を惹かれたのは、エメラルド寺院がある王宮に描かれていた壁画です。壁画にはタイの神話が描かれており、ガイドさんが英語で詳細を教えてくれました。この研修を通してタイの農業の特徴や農業経営について学ぶことが出来るだけでなく、タイの歴史や文化についても学ぶことができて素晴らしい経験ができました。

現地学生との交流 in Thailand

現地学生との交流は、海外実地研修の楽しみのうちのひとつです。研修中は現地学生と一緒に食事をとりますが、食事中に最も会話が盛り上がります。日本人学生は辛い物が苦手な人が多かったため、食事の際には”Is this spicy ?” と毎回のように聞いていました。私たちの班はフィールドワーク中にタイ式バーベキュー(ムーガタというそうです)を体験しました。タイ人と日本人では肉の焼き加減の好みが異なるようで、「もう食べていい?」「まだ早いよ!」といったやり取りで盛り上がりました。歌と楽器の生演奏があるバーベキュー場だったのですが、バンドはかなり時間に遅れて現れました。タイ人の先生が「きっとシャワーでも浴びていたんだよ」と冗談を言って和ませてくれました。のんびりしたタイの国民性を感じる場面でした。

農業現場フィールドワーク in Cambodia

私たちはカンボジアの畜産農家を訪問しました。訪問先には牛、豚、鶏そしてアヒルを育てている農家がありました。現地の学生の通訳を介して農家の方に直接インタビューしました。研修前は、カンボジアは発展途上国なので、小規模農家ばかりだと思っていました。しかし、肉の生産、加工、流通、販売を一貫して行うなど、むしろ日本では見られない大規模で先進的な企業農家を見学できました。フィールドワークだけでなく、現地の学生と同じホテルに宿泊し、ともに食事をしたのでとても仲良くなれました。会話の中で、料理や食材の現地での名前をよく教えてもらい、カンボジアの食文化についても学ぶことができました。研修最終日には、農家の方へのインタビューから学んだことをまとめて発表しました。現地の学生と協力してプレゼンを作成する中で、意思疎通がうまくいったときはすごく嬉しかったです。

研修終了後の懇親会 in Cambodia

互いの文化を学び、より友情を深めたのが懇親会です。懇親会では伝統的なダンスを披露し合いました。私たち日本人学生はソーラン節を踊りました。踊り始めると、カンボジアの学生が一緒に掛け声を出して踊ってくれて、とても盛り上がりました。日本の文化に関心を持ってもらえた上に、一緒になって楽しんでもらえたことが嬉しかったです。カンボジア学生のダンスも優雅で美しく、その動きにすっかり魅了されました。お互いのダンスが終わった頃には、会場はみんなの熱気で暑くなるほど盛り上がっており、お互いの国の様々なダンスを一緒に時間を忘れて踊り続けました。最終的に閉会後も2時間共にクタクタになるまで踊って友情を深め合い、とてもいい思い出になりました。