脳は生殖をコントロールする
生殖は動物の種の保存だけでなく肉やミルクの生産に必要不可欠です。生殖は、脳と卵巣や精巣の巧みな相互作用によって調節されています。脳が生殖をコントロールする仕組みを明らかにし、研究を通じて家畜の効率的な生産に貢献したいと考えています。
繁殖のしくみを解明すれば畜産物を効率的に生産できる
家畜の繁殖は、畜産物の生産性に直結する生理機能です。ウシおよびヤギを研究対象として、繁殖が制御されるしくみやストレスによって繁殖が抑制されるしくみを明らかにすること、ウシの受胎性を決める因子を探し出すことなどを通じて、畜産物を効率よく生産することをめざしています。
子宮は胎子を異物とは認識しない
哺乳類における習慣性・反復流産の9割以上は、胚の着床期に起こることが知られています。そのしくみは、動物種特異性が大きいように思われていましたが、次第に普遍性があることがわかってきました。現在、この普遍性に焦点をあてて研究を進めています。また、代理出産にみられるように、母親にとって異物と思われる胚が、どうして母親の免疫から逃れて正常な分娩に至るのか、母子境界領域の免疫にも興味を持っています。
動物は次世代のために季節を選んで繁殖する
多くの動物はある特定の季節にのみ繁殖する「季節繁殖」という戦略をとることで次世代が温暖で食料が豊富な季節に成長することができます。また、フグのように海の多くの生物は新月、満月に一斉に産卵しますが、その仕組みは謎に包まれています。最先端技術を駆使して、これらの謎の解明に取り組んでいます。
生殖細胞のゲノム情報を守る仕組みがある
一代限りで使い捨てられる体細胞と異なり、生殖細胞は次世代にゲノム情報を伝え、脈々といのちを繋いでいきます。そのため、生殖細胞のゲノム情報が乱されないように様々なメカニズムが働いています。本研究室では特にエピジェネティックな機構によってレトロトランスポゾンという転移性配列の活性や減数分裂期の相同染色体組み換え反応がどのように制御されているのかを調べています。