動物の形態進化を遺伝子発現制御から理解する

進化によって動物の形態の多様性が生まれる原因として、タンパク質をコードする遺伝子本体の変化とともに、その発現を制御するプログラムの変更が重要であることが分かってきました。この遺伝子発現を制御する「非コード領域」の機能進化をトランスジェニックマウスやゲノム編集マウスを用いて研究しています。(動物遺伝育種学研究室)

遺伝子の働きの違いによって体の構造がつくられる

「鳥とコウモリ」「魚とクジラ」など、似たような体の構造を持っていても、進化の道のりは全く異なる生物たちがいます。体の構造の特徴付けは、胚発生における遺伝子の働きで生み出されます。その仕組みを知ることは、生物の形や機能の真の理解に繋がります。私たちは『胎生』の仕組みについて、哺乳類および胎生魚を使ったアプローチを展開しています。
(動物形態学研究室)

ゲノム配列の進化はヒトの形質を変化させる

ヒト特異的な形質(脳が大きい、筋肉が弱い、白血病に罹りやすいなど)はどのように獲得されたのでしょう。その謎を解く鍵はゲノム配列の進化とエピジェネティクス(エピゲノム)の進化であると考えられますが、脳や筋肉が作られるのは胎児期なので研究できません。そこで、ヒト、チンパンジー、ニホンザルのiPS細胞を培養皿の中で特定の細胞に分化させ、その時に種間でどのような差が生まれ、それが何によって規定されているのかを調べています。(ゲノム・エピゲノムダイナミクス研究室)

魚独自の視覚回路の進化を解明する

魚はその長い歴史の間に様々な機能系が変わってきていて、その進化について調べています。視覚系では、もともとは哺乳類と同じで大脳にいたる視覚回路は2つあったのに、水産対象魚の多くが含まれる魚のグループでは1つだけになっていることを明らかにしました。この変化に対応した視覚機能の進化を研究しつつあります。(水圏動物学研究室)

植物の根の発生を適応の観点から理解する

生物の環境への適応を理解するためには、それぞれの種が世代を経て周囲の環境に対応して進化した過程を考えることが大切です。私たちは、植物が干ばつや冠水など土壌水分の異なる環境や養分が不足した環境に適応するために、根の細胞の運命を決定する発生のプロセスをどのように進化させてきたのかを理解することに取り組んでいます。
(発生学・システム植物学研究室)

花の発生のしくみを解き明かす

花や葉など、植物のすべての地上部器官は、茎の先端にある「茎頂メリステム」と呼ばれる幹細胞組織から分化します。そして茎頂メリステムは、フロリゲンや様々な植物ホルモンによって大きく機能転換します。私達は、茎頂メリステムを舞台に展開される発生学的な転換の分子作動原理を解明する研究をしています。
(発生学・システム植物学研究室)