植物は葉緑体によって環境ストレスに対応している

植物は根を張った場所から移動することはできませんが、細胞の中で葉緑体の配置や形を変えることで強光や高温、乾燥、塩などのストレスに対応しており、その機能形態を解明することで様々な自然条件に適した栽培法や品種の開発に繋がります。

(植物生理形態学研究室)

環境ストレスに対する根の適応能力を解明する

今後、地球温暖化の影響や降水量の変化などにより、乾燥や洪水など多くの環境ストレスが生じて、作物の収穫量が減少することが心配されています。「根」は、そのような環境ストレスを最初に受ける器官の一つです。世界的にも現在、「根」の機能の改良はとても着目されている研究です。私たちは、「根」の環境への適応能力について研究を行っています。

(植物遺伝育種学研究室)

植物の最も好む環境を知る

“適地適作“として知られるように作物の生産を向上させるためには適した環境で適した作物を適した栽培法で生産することが重要です。このため様々な作物(C3、C4植物、イネ科、マメ科、イモ類)が光環境に対する葉の光合成応答や土壌養分環境に対する根の反応と生育の関係やその作物・品種間差異を生理生態的に解明しようとしています。

(作物科学研究室)

洪水に強い作物をつくる

近年の気候変動によって世界各地で洪水が多発しています。浮イネと呼ばれるイネは洪水によって溺死しないために、水位に合わせて「茎」を伸ばして呼吸することで洪水環境に適応しています。では、どのように浮イネは自分が水没していると感じて茎を伸ばしているのか?そのメカニズムを解明して、洪水に強い品種開発に利用することを目指しています。

(植物遺伝子機能研究室)

花が環境に応答して作られるしくみ

植物はいつ花芽を作るかを決定するために、環境の変化を認識しています。しかしこの環境変化は、どのようなしくみで花芽分化の誘導因子・フロリゲンを合成させるのでしょうか。私たちは、植物が環境の変化に応じてフロリゲンによる花芽形成を行うしくみを研究しています。

(発生学・システム植物学研究室)

適応形質を発生学的な観点から理解する

気候変動を原因とした土壌の干ばつや冠水による被害が増加しています。このような状況において、耐干性や耐湿性の強い作物の開発が求められています。一方、自然界には多様な環境に適応した植物種が多く存在します。私たちは、土壌と直接触れる器官である根に注目して、植物の環境適応のしくみを主に発生学的な観点から研究しています。

(発生学・システム植物学研究室)

動物は季節の変化を感じ取りながら生きている

地球や月の自転、公転などの天体運動によって、私たちの住む地球では光、気温、湿度、降水量など、様々な環境が一日、一月、一年の周期でダイナミックに変動します。私たちはユニークな環境適応能力を持つメダカ、フグ、ウズラ、マウス、アカゲザルなど様々な動物にスポットライトをあてることで、動物の巧みな環境適応機構の解明に取り組んでいます。

(動物統合生理学研究室)

熱帯地域の家畜の体は暑さへの対処法を知っている

生物は生息している土地の気候にあった適応進化をしており、畜産業においても熱帯と温帯では適切な家畜が異なっています。しかし、近年の気候変動によって、世界全体として気温が上昇し、畜産物生産性が低下しています。熱帯地域の家畜が持つ、暑いところでも生産を維持できるという特徴を、遺伝学や生理学的アプローチで調べ、温帯の家畜において、共通の有用遺伝子を持つ個体の選抜などにより、温暖化の状況でも安定した畜産物生産をめざす研究を行っています。

(動物生産科学研究室)