エピジェネティック制御の異常は病気を引き起こす

遺伝子の働きはDNAやそれと結合するヒストンタンパク質の化学修飾によって制御されており、それをエピジェネティック制御と呼びます。これらの化学修飾に関わる遺伝子を欠損させたマウスを使って、エピジェネティック制御が細胞や個体の発生や機能にどのように関わっているのかを調べています。エピジェネティック制御の異常は流産、不妊、ガン、神経疾患など様々な疾患と関わっていることが分かってきています。

(ゲノム・エピゲノムダイナミクス研究室)

エピジェネティクスは果実の成熟にかかわる

DNAやヒストンタンパク質の化学修飾、あるいは20塩基から30塩基程度の非常に短いRNAを介して遺伝子の発現が制御される現象をエピジェネティクスといいます。私達はトマトを材料に、これらエピジェネティックな遺伝子発現制御に関わる因子が果実成熟にどのように関わっているのかを調べています。

(園芸科学研究室)

親世代のエピゲノムを次世代は記憶している

DNAの配列情報をゲノムと呼ぶとすると、DNAの修飾の情報をエピゲノムと言います。一部のエピゲノムは、哺乳類の胚発生の初期に一度大きなリセットを受けることが知られています。その後、次第にDNAの修飾は再現されて行きますが、子の親世代で新たに獲得した修飾部位をどのように覚えているのでしょうか?こんなエピゲノムの記憶のしくみを明らかにしようとしています。

(動物形態学研究室)

エピジェネティクスは体内時計の調節にかかわる

動物には1年周期のリズムを刻む体内時計が備わっています。この長い周期のリズムを刻む際にエピジェネティクスが重要な役割を果たしていると考えられています。また、誕生月が一生の病気の罹患率に影響することもわかっており、エピジェネティクスの関与が疑われています。これらの仕組みを解明したいと考えています。

(動物統合生理学研究室)

エピジェネティクスは生殖関連遺伝子発現を調節する

卵巣や精巣から分泌されるホルモンは、脳に作用し、生殖をコントロールする遺伝子の発現を調節します。この調節にはエピジェネティクス機構が関与しています。脳が生殖をコントロールする仕組みを明らかにし、研究を通じて家畜の効率的な生産に貢献したいと考えています。

(動物生殖科学研究室)

フロリゲンとエピジェネティクス

フロリゲンは、植物が花芽をつくるための最強の運命決定因子です。フロリゲンは、この強力な機能を「エピジェネティクス」のメカニズムによって実現していることを私達は解明しつつあります。私達は、フロリゲンがDNAメチル化やクロマチンの状態、ゲノムの3次元構造を変化させる可能性を研究しています。

(発生学・システム植物学研究室)

エピジェネティック制御情報から未知のゲノム機能領域を解明する

哺乳類ゲノムの大半を占める非コード領域には、大量の時間・空間的な遺伝子発現制御情報が隠されています。近年のテクノロジーの進歩により、膨大なエピジェネティクス情報が蓄積され利用ができるようになっています。この情報を利用して隠された制御情報を読み取り、動物の発生制御への関わりの仕組みを明らかにしようとしています。

(動物遺伝育種学研究室)